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都内在住ビジネスマン。CSV、サステナビリティ等に関することを 2019.5 Livedoor Blogから引っ越してきました。

どうやって始めようか?の疑問に答える 「SDGs入門」 ブックレビュー

新たな事業の種を探したい経営者にとって「企業の力を必要としている」SDGsは、宝の山と言えます。それは、SDGsがなぜ必要か、の裏返しでもあります。世界を現状のまま放置しておくとひどいことになる、とすれば、それを回避してより豊かな世界にすることに貢献できる事業であれば、世界に大いに歓迎されます。

f:id:changein:20190619171542j:plainバブルと思える程、続々と発売させるSDGs関連書籍。今回紹介する新書は、恐らく現時点では最新刊の一冊。
題名の通り、これからSDGsに取り組もうにも、何から始めたらいいの?といった悩めるビジネスパーソンには最適な入門書と言ってもいいでしょう。

本書全体の構成は、

第1章 まずはSDGsを理解しよう

第2章 SDGsとビジネスはどう結びついているのか

第3章 SDGsに取り組むときのヒント

第4章 SDGsにビジネスで貢献する

第5章 SDGsの取り組みテーマを選ぼう

冒頭ではSDGs関連本には必ず語られる、SDGsが採択された背景やMDGsからの流れなど、基本情報が述べられます。以降の章では、企業が取り組む際の考え方やプロセスに加え、最終章では、日本で注目される9つのテーマに絞り、そうした社会課題がクローズアップされる背景や、それぞれのテーマに取り組む先進企業が紹介されます。

ここでは、第2章のESGとSDGsの違い、そして、第4章のビジネスに組み込む際の考え方、さらに、SDGsを考える上での企業理念との関連性について、3つのポイントに絞って紹介しましょう。 


●ESGはプロセスだSDGsはゴール

SDGsの採択やパリ協定の合意された頃、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が署名したことにより、改めて注目されたPRI(責任ある投資責任)。当時のアナン国連事務総長がPRIを提唱したことに始まり、当初は機関投資家や金融関係者向けだったESGですが、最近では投資に加え、経営とも結びつき、広く知られるキーワードとなりました。

SDGsと並んで用いられることが多いESGですが、第2章の最後に、両者の共通点や相違点が、ESGはプロセスでSDGsはゴールとして、シンプルな表でわかりやすくまとめられています。

f:id:changein:20190619171521j:plain 本書より
 

●ビジネス組み込みの内発的な動機付けと自由度の許容

企業向けにSDGsの講演やワークショップも行う筆者の本書でのハイライトは、ビジネスに組み込むその手法を説明する第4章にあると言えるでしょう。

最も共感できたのは、検討スタート時点におけるこのアドバイス。

今ある事業や強みに引き付けた議論が行われることでしょうか、この段階では実現可能性にはあまり引っ張られず、「とにかくこれをなんとかしたい」という意識の共有が大切です。(中略)「あなたの関心」を強調するのは、誰かに言われてやるのではなく、自分から沸き上がってくるような力こそが、大胆な変革を求めるSDGsの取り組みに求められているからです。

SDGs取り組みの議論として、「そうした事はすでにやっている」といった反応が必出ますが、SDGsのゴールはサステナブルな世の中を作ること。従来のCSRでそうした世の中が実現できているかと考えれば、課題満載の社会の中でさらに一歩踏み出して、野心的な取り組みが求められます。

また、第3章の冒頭には、検討するためのツールとして、SDGコンパス等も紹介されています。SDGコンパスの基本的な考え方の一つにアウトサイド・インのアプローチ つまり、自社基点ではなく、社会課題を基点としてビジネスを考えるということですが、そうした国連が提唱する検討プロセスは基本にあり、バック・キャスティングの考え方や、検討を進める際のロジックモデルも提示されています。一方で、本書では、上記にもある様に、興味関心事を起点としてもいいと述べられていること。

推進する上で、もっとも重要なのは、企業視点でもなく、社会課題視点でもない、内発的な動機付けという事でしょう。

 

●経営理念とも向き合う

最後にもう一点、第3章 SDGsに取り組むときのヒント の中で「会社の経営理念を確認しよう」というユニークな指摘を紹介しましょう。

創業や経営の理念や精神としてまとめられた言葉にこそ、その企業の価値観、大事にする方向性が凝縮されていると考えられます。SDGsやサステナビリティのような長期的な課題に向き合う際には、「わが社の価値観」との整合性を確認しておくことも、周囲を説得する際のポイントとなります。

 

SDGsに関する基本知識やビジネスとして取り組む手法やケーススタディまでを網羅しながらも分かりやすくコンパクトにまとめられたオススメの一冊でした。

SDGs入門 (日経文庫)

SDGs入門 (日経文庫)