年末商戦の初日といわれる11月の第四金曜日をアメリカではブラック・フライデーと呼んでいますが、昨年の11月25日、パタゴニアはその日の全世界での売上の100%を全て環境保全に寄付しました。
その規模は200万ドルと言われています。

※Patagonia Webサイトより
そもそもブラック・フライデーの売上全額の寄付を決めたのは、アメリカ大統領選の結果に危惧しての決断でした。全世界での売上ですので、もちろん日本での売上分も寄付として提供されたことになります。
こうした想像を超え社会的インパクトのある決断をしたパタゴニアのことをもっと知りたいと思ったのが、本書を手に取ったきっかけです。署名のタイトルを見たときに、真っ先に感じたのが、「レスポンシブル」というキーワード。なぜ、「サスティナブル・カンパニー」ではないのか?
その回答は、著者自ら、本書の冒頭に書かれていました。
ちょっと長いのですが、本書で述べられているパタゴニアという会社の根幹の考え方に軸の様なものですので、そのまま紹介したいと思います。
我々ができるだけ使わないようにしている言葉がある。-「持続可能性」だ。元に戻せるよりも多くの自然を消費しないなら、この言葉が使える。だが、我々は戻せるよりも多くを使っているし、守る自然よりも損なう自然のほうが多い。事前の再生する力豊かな生命をはぐくむ力を阻害せずに衣食住をまかない、生活を楽しむーそのためのエネルギーも確保するーことができる日まで、持続可能という言葉を事業に冠するなどしてはならない。
現時点において、パタゴニアの様な企業でも経済活動を続けている限り、現時点では持続可能な事業であるとは考えておらず、まだ道半ばであるための考え方と言えるでしょう。
金の指輪1つ→20トンの鉱山廃棄物
オーガニック・コットン1本→174リットルの水
(本書やパタゴニアWebサイトより)
便利で文化的な暮らしを送る私も、こうした普段の生活をするだけでも環境に自然資源に大きな負荷を与えていることを改めて知るべきでしょう。
そしてもう一つ、本書のタイトルをうまく表現するセンテンスを紹介したいと思います。
顧客の要求はエスカレートし、環境規制は強化され、資源は余裕がなくなり価格が上昇し、投資家の目も厳しくなっていく。そのなかで、あらゆる側面で事業責任を全うしようとする企業が増えるだろう。正しいことだからするという面もあるが、そうしなければ成功できなくなるからだ。そのような企業と競うためには、自社も同じくらいに責任ある行動をとらなければならない。
さて、今回のタイトルに関して、まだ何も触れていませんでしたので、その辺りを最後にお伝えしましょう。以前、私が関わっていたGreen TV Japanでは、数年前、イヴォン氏の来日に併せて、取材をしメッセージ映像コンテンツを制作しています。そのインタビューでのコメントがこの一言だったのです。
Green TV Japan 映像コンテンツはこちらから

※Green TV Japanより
シンプルにコンパクトでありながら、パタゴニアの思想がギュッと濃縮された一冊、巻末のレスポンシブル・カンパニーへのチェックリストもパタゴニアの企業姿勢がより明確になる興味深いものでした。皆さんも是非!